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皇學館大學(館町校舎)

 皇學館は、明治15(1882)年4月30日に神宮祭主久邇宮朝彦親王の令達により林崎文庫に設置されました。明治16(1883)年に林崎文庫講堂において開館式が行われました。また、明治18(1885)年現在の祭主宿舎の東北隅の教室を仮教室とし講義が開始されました。そして、明治20(1887)年10月に浦田町(現在の神宮道場の地)に校舎を新築し移転しました。
 さらに、明治29(1896)年12月に宇治館町(現在の神宮司庁治第二工作場)に新校舎が竣工し、明治30(1897)年6月に新校舎開館式が行われました。浦田町時代の校舎はそのまま移築し、寄宿舎として使用しました。

左:林崎文庫  右:皇學館  原寸:長辺10.1㎝×短辺7㎝

 「伊勢名所」の題のついた折本の写真集です。このほかに明治末と考えられる御木曳等写真が収録されていますので、これらの写真も明治末期のものと考えられます。右写真は『伊勢と皇學館の140年』所収の「神宮皇學館全図」を参照すると館町校舎南端にあった玄関周辺の写真だと考えられます。

神宮皇學館三十周年記念絵葉書 左:裏面 右:表面   原寸:長辺14.1㎝×短辺9㎝

 裏面上右側には「神宮皇學館創立三十年記念 45・4・30」のスタンプが捺されています。周囲は歴代館長の肖像で、右上が中田正朔(二十年~二十三年)・右下が鹿島則文(二十三年~三十一年)・上中央が冷泉為紀(三十一年~三十六年)・左上が桑原芳樹(三十六年~四十三年)・左下が木野戸勝隆(四十三年~)です。館町校舎の全景が写っており、手前の川は五十鈴川です。表面には「意匠登録神都鈴木東京堂発行」とあります。また、参宮線のほか、神都線・御幸通・古市通が描かれています。

神宮皇學館 左:裏面 右:表面   原寸:長辺14.1㎝×短辺9.1㎝

 『皇學館大學百年小史』以降に出版された、皇學館大學の刊行物に「皇學館大學館町校舎 正門」とキャプションの付されている絵葉書です。『伊勢と皇學館の140年』所収の「皇學館全図」及び「神宮皇學館建物配置図」から、これは館町校舎南側の正門ではなく、校舎北端西(五十鈴川)側にあった寝室(学寮)昇降口前の門だと考えられます。


神宮皇學館五十周年記念絵葉書 左:裏面 右:表面   原寸:長辺14.1㎝×短辺9㎝

 右上が館町校舎、左下は昭和3(1928)年に竣工した講堂の写真です。


林崎文庫入口 
令和5年3月29日撮影

 入口周辺は内宮駐車場となっています。写真には写っていませんが、蓋のある側溝があります。


皇學館大學館町校舎跡地(現 神宮司庁宇治第二工作場)
 
左・中:令和5年3月29日撮影 右:平成23年8月16日撮影

 神宮司庁宇治第二工作場の構内には皇學館創立六十周年を記念して建てられた「神宮皇學館舊址」の石碑があります。


〔参考文献〕
学校法人皇學館大學 『創立九十年 再興十年 皇學館大學史』
                昭和47年10月 学校法人皇學館大學

皇學館大學 『皇學館大學百年小史』
                昭和57年4月  皇學館大學 p14
学校法人皇學館 館史編纂室 『皇學館大學の百二十七年』 
                平成21年11月 学校法人皇學館 館史編纂室  表紙・p40
学校法人皇學館 『皇學館大學百三十年史 年表篇 写真篇』
                平成26年12月 学校法人皇學館 p600
学校法人皇學館 『皇學館大学創立140周年・再興60周年記念 伊勢と皇學館の140年』    
                令和4年4月    えにし書房株式会社 p19~23


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