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虎尾山より宇治山田市内眺望

〔関連ページ 五二会ホテル

 尾上町に「虎尾山」があります。戦前は「明治聖代戦役記念碑」が設置されており、観光地として紹介されていました。虎尾山から撮影した宇治山田市内の写真です。

左:宇治山田市街中央部の遠景 円内は市役所玄関 宇治山田市役所発行
   原寸:縦9.1㎝×横14.1㎝  発行所:不明
中:左に建物などの名称を入れたもの
右:写真中黄色円内と同じ建物と考えられるもの(左側)

 『神都絵葉書』のうちの一枚です。(こちらをクリックしてください。)絵葉書円内「市役所玄関」の左上の木々の隙間に、大正7(1918)年に落成した百五銀行山田支店(現伊勢支店)が写っています。また、絵葉書中央の宮川電気発電所の煙突(現中部電力伊勢営業所)の後方に大正15(1926)年に開館した商品陳列所が写っていません。よって大正7年以降、大正15年までの写真です。なお、写真中央の建物は「新農業博覧会」の展示館と考えられます。この推定が正しければ大正14(1925)年の撮影であると確定できます。


左:宇治山田市街中央部の遠景 円内は神都公会堂並図書館 宇治山田市役所発行
右:おなじ画像で昭和3年
(1928)年11月20日の特殊記念日付印有

 『神都絵葉書』のうちの一枚ですが、(こちらをクリックし、「神都絵葉書2」をご覧下さい)上記のものより新しいものです。右画像は左画像と同じものですが、「大礼記念」切手と昭和3(1928)年11月20日の特殊記念日付印が捺されています。また、大正15(1926)年に落成した商品陳列所が写っていますので、大正15年以降、昭和3年11月20日以前に撮影されたものです。


左:神都山田市の俯瞰
   原寸:縦8.9㎝×横13.9㎝  発行所:不明

右:建物などの名称を入れたもの

 絵葉書中の画面右端、宇治山田駅の左には神都公会堂があり、その左側の森が箕曲中松原神社です。その上の小さな森が世木神社で、その右に山田駅(現:JR・近鉄伊勢市駅)の跨線橋があります。その左に煙突があります。これは、旧宮川電気株式会社の火力発電ボイラーの煙突です(現中部電力伊勢営業所)。その背後にあるのが商品陳列所で、その上の森が月夜見宮です。森の中央あたりの奥に上部だけ見えるのが、大正14年に現御園町へ移転した日赤山田病院です。また、宮川電気の煙突の左側は昭和8(1933)年に新築された明倫小学校があります。また、煙突の下側塔のある建物が、宇治山田警察署です。そして画面左端中央部にある高い建物が大正7年に落成した百五銀行山田支店(現伊勢支店)です。よって、昭和8年以降に撮影されたものと考えられます。

左 (伊勢)八幡山より見たる五二会ホテルと全市街
   原寸縦9.1㎝×横14.1㎝ 発行所不明

右 建物などの名称を入れたもの

 虎尾山の近くにある八幡山から虎尾山五二会ホテル・市街を写したものです。写真中央の建物が五二会ホテルで、その左の煙突が発電所です(現錦水橋北西一帯)。煙突の右側には明治33年5月に落成した第四尋常中学校(現宇治山田高校の前身)が写っています。その後方には大正9年に第一工場が落成し、大正14年に拡張をした東洋紡山田工場がありませんので、明治33年以降大正9年以前の撮影だと考えられます。

左 伊勢山田五二会より伊勢湾を望む 電長五二番
   原寸縦9.1㎝×横14.1㎝ 発行所:絵画研究会
右 建物などの名称を入れたもの

 写真中央には参宮線を走るSLが見えます。その上部の煙突が見える場所一帯が東洋紡山田工場で、その手前が第四中学校です。よって、この写真は大正14年以降のものと考えられます。画面中央左の煙突は発電所の煙突で、参宮線と平行に二棟並んでいる建物の右側の建物(参宮線に垂直方向の建物)が伊勢市内を走っていた路面電車の車庫です(後の三交神都線岩淵車庫)。その右下が錦水橋です。その左下に見える煙突は、錦水湯ではないかと思われます。

平成19年6月23日虎尾山より撮影
左:宇治山田駅より高倉山方面
中:錦水橋より宇治山田駅方面
右:尾上町方面より宇治山田駅方面


左 五二会ホテルより市内眺望
右 五二会ホテルより市内眺望
   原寸縦9㎝×横13.9㎝ 発行所不明

 左写真はホテル玄関上の部屋から北方向を撮影したものです。市街の部分が不鮮明なので詳細が分からないのが残念です。
 右写真下端中央から少し右の所に、ホテルの鬼瓦が写っています。ホテル玄関上の部屋から東方向を写したものです。右端の三角形の山が貝吹山です。

 その左に大きな建物が三つ見えます。左右の建物に比べ、中央の建物は遠方にあるように思われます。よって、右が徴古館、左が農業館で、中央は皇學館・伊勢高・倉田山中学のいずれかの建物ではないかと推測されます。
 このはがきの表面の罫線は、いずれも3分の1のところにひかれているので、大正6年以前の風景だと考えられます

五二会ホテルより市内眺望「右」は、『皇學館大学史料編纂所所報 史料』第221号で紹介しました。

〔参考文献〕
伊勢市『伊勢市史 第4巻 近代編』平成24年6月 伊勢市 p.496
東洋紡績株式会社「東洋紡績七十年誌」編修委員會
   『東洋紡績七十年誌』    昭和28年
写真集伊勢編集委員会編

   『写真集 明治 大正 昭和 伊勢 二見 小俣』
                 昭和61年8月  国書刊行会


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