宮川~外宮界隈 旅館
菊屋
山田駅前右側5軒目の「伊勢屋」は宇仁館傘下の「菊屋」となりました。
宇仁館菊屋 (本ページ「宇仁館」で紹介)
菊屋ラベル
左:表面 原寸:直径6.9㎝ 右:裏面
現在の東京都大田区西蒲田にある相生小学校の修学旅行で使われた荷札です。このラベルと一緒に次の「保護者の方へのお願い」がありました。
原寸:縦24㎝×横33.7㎝
旅行日程の第1日目が6月18日火曜日となっています。「宇仁館橘屋」となった昭和初期で6月18日が火曜日なのは昭和10年と15年です。
初日の午後6時に学校集合、蒲田駅午後8時24分発、2日目に参宮し宇仁館に泊まり3日目午前6時18分に山田駅を出て奈良・京都に向かうという今では考えられない日程です。
宇仁館の電話番号が12番と221番 となっています。前者は宇仁館本館、後者は宇仁館藤屋です。当日になってから宿泊先が変わったのでしょうか。緊急連絡先が旅館ないしは駅となっている点に時代を感じます。
以下、文章を掲載します。一部の漢字を常用漢字等に改めました。
保護者の方へのお願ひ | |||
一 | 準備について 旅行の栞のはじめにある児童への注意書きの事項を一通りご覧下さいまして、ご準備を十分にお願ひ致します。 | ||
二 | 食物について 出発前に食事を十分取る事。空腹にぐれば疲労し汽車に酔ひ易いものです。又間食物は翌十九日中に食し終る程度を越えない様に願ひます。間食が過ぎると途中腹痛下痢等を起こして困りますから厳重に取締まります。特に時節柄腐り易いものを持たせぬ様にして下さい。時節柄梅干し入りの握飯がよいと思ひます。 | ||
三 | 服装について 着衣は質素で軽快なものが宜しいと思ひます。肌着の着がへを一枚持たして下さい。雨具は必ず持参する事。途中不用の時は宿舎又は汽車中に置きますから荷物になる心配は有りません。履物は丈夫で而も日頃はき馴れたものを用ひる様ご注意下さい。 | ||
四 | 途中の事故に就いて 旅行中お子様に異常が出来た場合は直ちにお知らせ申します。又家庭で急用の生じた場合は左記日程表中の駅又は旅館にご通知を願ひます。 | ||
五 | 日程に就いて 旅行日程は左記の通りですから予め御承知置き下さい | ||
第一日(六月十八日・火) | 学校集合 | 午后六時三十分 | |
蒲田小学校集合 | 〃 七時三十分 | ||
蒲田駅発 | 〃 八時廿四分 | ||
横浜駅発 | 午后九時十三分 | ||
第二日(六月十九日・水) | 熱田駅着 | 午前四時十三分 | |
山田宿泊 | 山田市山田駅前 宇仁館 電山田 一二 二二一 |
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第三日(六月二十日・木) | 山田駅発 | 午前六時十八分 | |
奈良駅着 | 午前九時四十六分 | ||
奈良駅発 | 午后二時廿(?)分 | ||
桃山駅着 | 〃 三時二十分 | ||
桃山駅発 | 〃 五時三十分 | ||
京都着 | 〃 五時四十五分 | ||
京都宿泊 | 京都市三条大橋東詰 いろは館 電上三〇三七 三一〇八 北浦 新宿 相生 矢口西 浦 仝 梅屋別館 電上二八五四 蒲田 京都市三条小橋 布袋館 電本五・五五五 矢口東 |
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第四日(六月廿一日・金) | 京都市中見學 | ||
京都駅発 | 午后九時五十九分 | ||
第五日(六月廿二日・土) | 横浜駅発 | 午前八時一五分 | |
蒲田駅着 | 〃(約)八時四十五分 | ||
帰校 | 〃(約)九時三十分 | ||
六 | 児童送迎に就いて 蒲田から横浜までは電車で、横浜から臨時列車に乗ります。ホームは狭くて危険ですから送迎の為ホームへの入場はご注意下さい。 |
〔参考文献〕
秋田耕司『宇仁館物語』
平成30年8月 NFC技研 p.55
〔参考HP〕
相生小学校HP(令和2年8月23日閲覧)
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