宇仁館

宮川～外宮界隈　旅館

宇仁館

　山田（現伊勢市）駅前右側１件目にありましたのが「宇仁館」です。宇仁館は西田貞氏が開業しました。そして、その長男周吉氏が宇仁館を一大チェーンに発展させました。周吉氏は、宇仁館の経営だけでなく、伊勢朝報社長・商工会議所会頭・宇治山田市議会議員・三重県議会議員・県議会議長など各方面で活躍をしました。また、昭和５年の「神都博覧会」開催を強く推進しました。
　当初は外宮前が本店でしたが、大正元年までには売却され、岡本町にあった支店が本店になりました。その後、大正３年頃に経営を「伊勢山田旅館合資会社」としました。その後、様々な旅館を買収し、傘下に収めました。

宇仁館絵葉書１
左：たとう　原寸：長辺14.6㎝×短辺9.2㎝
中：宇仁館本店　　絵葉書：原寸　長辺14㎝×短辺9㎝　　印刷：不明
右：宇仁館支店

左：宇仁館別館藤屋
右：名刺　原寸縦10.5㎝×6㎝

　山田駅前店がまだ2階建てです。

宇仁館絵葉書２
左：たとう（広げた状態）　　　原寸　長辺18㎝×短辺18.7㎝
中：伊勢山田外宮前　宇仁館　　絵葉書原寸：長辺14.3㎝×短辺9㎝　　印刷：不明
右：伊勢山田駅前　宇仁館

左：伊勢山田駅前　宇仁館別館藤屋
右：名刺　原寸：長辺11.1㎝×短辺7.6㎝

宇仁館絵葉書３
左：たとう（広げた状態）　原寸　長辺18.5㎝×18.1㎝
右：表面　　絵葉書原寸　長辺14.2㎝×短辺9.2㎝　　

左：伊勢山田外宮前　宇仁館　　　中：伊勢山田駅前　宇仁館　　　右：伊勢山田駅前　宇仁館別館藤屋

　宇仁館絵葉書２と同じ写真を使っていますが、周囲の枠がありません。また、たとうには不鮮明ですが「藤屋」スタンプが捺されており、鉛筆で「宝美小学校　修学旅行　大正十二年頃との注記があります。よって宇仁館の山田駅前店が３階楼になったのは、大正１２（１９２３）年頃以前だということは確かだと考えられます。

宇仁館絵葉書４
左：たとう（広げた状態）　原寸：長辺18.5㎝×短辺18.2㎝
右：表面　　絵葉書原寸：長辺14㎝×短辺9㎝　　印刷：東京　小谷豊文社
左：本店

左：駅前宇仁館　　中：外宮前宇仁館・文庫　　右：宇仁館別館藤屋

宇仁館絵葉書５
左：たとう（折った状態）　原寸　長辺16.1㎝×短辺9.5㎝
右：表面　　絵葉書原寸：長辺13.9㎝×短辺8.9㎝　　　印刷：絵画研究会
左：本店
　

　絵葉書には山田駅前の建物に「本店」と記入されています。登記と経営とで使い分けていたのでしょうか。

左：（本店）食堂・高級食堂花月　中：藤屋　　右：橘屋

宇仁館絵葉書７
左：たとう（広げた状態）　原寸：長辺19.7㎝×短辺17㎝　　印刷者：不明
中：外宮前宇仁館　　絵葉書原寸：長辺14.1㎝×短辺9.1㎝
右：駅前宇仁館

左：宇仁館食堂　　中：宇仁館別館藤屋　　右：宇仁館別館

　外宮前の３階楼です。写真ではなく版画です。明治末のものと考えられます。

宇仁館パンフレット２
吉田初三郎「伊勢神宮参拝御図絵」
原寸：長辺17.7㎝×短辺12.4㎝

　パンフレット２・３の「営業案内」は同じ内容となっています。いずれも藤屋について「駅前右側三軒目木造三階楼にして大正十四年建築」「裏三階楼は尾上町に有り元勅使齋館館なりしを対象十五年に移築し」とありますので、大正１５（１９２６）年以降に作成されたものです。

宇仁館パンフレット４
原寸：長辺37.5㎝×短辺10.6㎝

　地図左端の「大神宮駅」の名称が「参急」となっていますので、昭和９年以降の発行です。ただ「参急」の活字が周囲のものと違うので、昭和９年以前に作成した版を訂正し、発行をしたとも考えられます。

宇仁館パンフレット５
原寸：長辺26㎝×短辺9.5㎝

宇仁館パンフレット６
原寸：長辺26㎝×短辺9.5㎝

　左側画像に「近畿日本ツーリスト」の名称があります。これは昭和３０年９月に発足しましたので、それ以降に発行されたものです。（この項のみWikipediaによる）

宇仁館領収書１
原寸：長辺22.8㎝×短辺18㎝

宇仁館領収書２
原寸：長辺22.1㎝×短辺16.5㎝

宇仁館『参宮案内』

　各旅館でも参宮案内が作成されました。１７ページに「伊勢電鉄・大神宮前駅」に記述がありますので、昭和５（１９３０）年以降から昭和９（１９３４）年までの間に作成されたものです。

こちらをクリックするとＰＤＦファイルが開きます。

〔参考文献〕
秋田耕司　『宇仁館物語』　平成３０年８月　有限会社ＮＦＣ技研

〔参考ＨＰ〕
Wikipedia「近畿日本ツーリスト」令和２年８月２日閲覧

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