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神宮 昭和4年 式年遷宮紀念絵葉書


伊勢大神宮 御遷宮式年祭 紀念絵葉書 

 表面を見ると、中央に罫線が引かれていますので、昭和4年の式年遷宮を記念して作成された絵葉書だと考えられます。作成は「東京神田 松本幸盛堂」です。後述するとおり、御正殿の画像は明治22(1889)年以前の写真です。このように、過去の写真を使用することは散見されますので、撮影年代を比定する際は注意が必要です。

左:たとう  原寸:長辺14.3㎝×短辺9.6㎝   中:表面 原寸:長辺14.3㎝×短辺9.2㎝
右:伊勢交太神宮正面(内宮)


左・中:伊勢皇太神宮正面(内宮)  右:伊勢皇太神宮後面(内宮)

 左画像は、東側から西に向かって写したものです。鳥居の右側が瑞垣南御門、鳥居に重なって写っているのが内玉垣南御門でしょうか。中・右画像では、御正殿と東西の宝殿がほぼ一列に並んでいます。これは天正13(1585)以降、明治22(1889)年の第56回式年遷宮まで約300年間続いた配置です。中画像と同じアングルの写真はよく見かけますが、左・右はあまり見かけることがありません。右画像の右端には明治2年式年遷宮時の建物が残っています。

左左上:金剛造御太刀 左下:銅黒造御太刀  右(右側から)蒲御靭・革御靭・御楯 
左:伊勢皇太神宮奉遷料御装束 菅御笠


左上:月読宮神宝 御鞍  左下左:月読宮神宝 鶴斑毛御彫馬  左下右:荒祭宮神宝 青毛彫馬
右上:伊雑宮神宝 金剛御髙機械  右下:伊雑宮神宝 金剛御髙機械並びに御架

 御装束とは、衣服や服飾品・神殿の中の装束品・遷御の儀に用いられる品々の総称です。また、御神宝とは神々の調度品で紡績具・武器・武具・馬具・楽器・文具日常用品などです。これらは平安時代の『延喜式』や『皇大神宮儀式帳』の規定に則っています。これらの御装束・御神宝は20年間御正殿に収められ、式年遷宮ごとに新しいものに取り替えられます。その際前回の式年遷宮で作られたものは西宝殿に移され、さらに20年保存されます。
 明治2(1869)年まではお下げした神宝類のうち燃えるものは燃やし、他のものは地中に埋められました。これは、神の御料が人出に渡るのは恐れ多いと考えられていたからです。しかし、明治22年以降は神宝収蔵庫に厳重に保管され一部は徴古館で展示されています。



内宮外宮 御遷宮紀念 特製コロタイプ版

 この絵葉書集の表面には中央に罫線が引かれていますので、昭和4年の式年遷宮を記念して作成された絵葉書だと考えられます。
左:たとう 原寸:長辺14.3㎝×短辺9.9㎝  右:表面 原寸:長辺13.9㎝×短辺8.9㎝

左:内宮御白石奉曳式(其ノ一)  中:内宮御白石奉曳式(其ノ二)  右:内宮御白石奉曳式

左:宇治橋渡初式  中:外宮新御正殿  右:内宮新御正殿
 宇治渡初式の写真は鳥居左上の木の節の配置から明治42年のものだと考えられます。また、内宮御正殿は正殿と東西宝殿と一列に並んでいるため、明治22年の式年遷宮の画像だと考えられます。

左:外宮外宮御遷宮式祭  右:内宮御遷宮式祭


神宮式年遷宮紀念 昭和四年十月

左:たとう表面 原寸:長辺14.3㎝×短辺10㎝  中:たとう裏面    右:絵葉書表面 原寸:長辺13.9㎝×短辺8.9㎝ 

 このたとうの裏面には発売元である「知新堂書店」の名が印刷されていますが、発売元名が印刷されていないものもあります。

左:御造営御棟木曳  中:御造営御役木川曳
  右:宇治橋渡初式
 この宇治渡初式の写真も鳥居左上の木の節の配置から明治42年のものだと考えられます。

左:御造営白石曳  中:御造営白石修祓  右:御遷宮式

左:外宮御正殿  中:内宮御正殿  右:遷宮絵巻


神宮式年御遷宮記念

左:たとう 原寸:長辺17.5㎝×短辺9.9㎝  中:表面 原寸:長辺13.8㎝×短辺9㎝


左:御木曳  中:御遷宮盛儀・御白石奉献  右:豊受大神宮・皇大神宮
 発行所等詳細は不明です。御木曳や御遷宮盛儀、外宮・内宮の写真がこの絵葉書集の前に紹介した「神宮式年遷宮紀念 昭和4年10月」と同じですので、印刷または発行に何らかの関係があったと思われます。


伊勢大神宮 御遷宮式記念

左:たとう 原寸:長辺14.9㎝×短辺9.9㎝  右:表面 原寸:長辺14.1㎝×短辺9.1㎝
 表面中央に「TOKYO MATSUMURA」の印刷者を表していると考えられる名が入っています。全ての絵葉書の裏面に東京局の特印(特殊通信日付印)が捺されています。

左:外宮  右:宇治橋・内宮側面
 左画像のキャプションには「外宮」とありますが、この写真は本ページ最初に紹介した「伊勢大神宮 御遷宮式年祭 紀念絵葉書」の2段目左画像とよく似ており、内宮のものだと考えられます

左:御遷宮御式図 其一  右:御遷宮御式図 其一 


昭和四年十月二日 神宮式年遷宮記念絵葉書 逓信省発行

左:たとう広げた状態 原寸:長辺19.4㎝×短辺16.5㎝  中:案内文  右:表面 原寸:長辺14㎝×短辺㎝9㎝


左:遷御御儀式  中:皇大神宮・豊受大神宮  右:日付印 ※このセットではありません
 左は遷御の儀式を拝写した絵です。貼付されている切手は6銭のものです。切手の意匠は皇大神宮の正殿です。中は外宮・内宮の写真で、地紋は両宮調度品の葉小牡丹紋を描いたものです。貼付されている切手は一銭五厘のもです。左・中ともに福島局の特印(特殊通信日付印)が捺されています。右はこの絵葉書のセットではありません。五十鈴川局の特印が捺されています。意匠は遷御の御儀式で使用される御鉾の比礼に紫御翳・菅御翳および秉燭(へいしょく)〔=かがり火〕を配したものです。


神宮式年御遷宮記念

左:たとう広げた状態 原寸:長辺18.5㎝×短辺7㎝  中:表面 原寸:長辺14㎝×短辺9.1㎝

 たとう裏面にありますとおり、絵画研究会出版部が発行したものです。

左:御白石奉献 御木曳の光景  右:宇治橋渡初式
 御木曳は岡本町です。渡初式は鳥居や鳥居周辺に木々が生い茂っている様子から明治42年のものではなく、昭和4年のものではないかと考えられます。

左:大廟外宮 大廟内宮  右:遷御の図



式年御遷宮絵葉書 (たとう無し)


 たとうはありませんが、表面の罫線が中央に引かれていますので、昭和4年の式年遷宮を記念して作成された絵葉書だと考えられます。

左:表面 
原寸:長辺14.2㎝×短辺9. 1㎝
  
中:御料林中に於ける山神祭・下御樋代伐木の状況

左:昭和四年九月廿二日 宇治橋渡初式の光景  
中:皇大神宮正面・皇大神宮後面
右:工作場へ奉曳の光景・工作場に於ける製材

 宇治橋渡初式は周囲の様子からも昭和4年のものと考えられます。内宮後面手前は東西の宝殿が正殿の隣に配置されています。この写真はこのページの最初で紹介した「伊勢大神宮 御遷宮式年祭 紀念絵葉書」と同じ写真です。


左:御遷宮祭御料  工作場へ奉曳の光景  工作場に於ける製材

中:皇大神宮奉遷御料 赤紫綾御蓋
右:    〃       菅御蓋
 奉曳の光景と工作場に於ける製材の写真は、『昭和四年度神宮式年御造営要覧』(筆者蔵)所収のものと同じ画像です。

左:荒祭御神宝 金銅造御太刀  銅黒造御太刀 / 月読宮御神宝 御鞍
中:月読宮御神宝 鶴班毛御彫馬 / 荒祭宮御神宝 青毛御彫馬
右:伊雑宮御神宝 金銅御髙機 / 荒祭宮御神宝宮 御楯 革御靱




神宮式年遷宮記念絵葉書(山田郵便局)

左:たとう 原寸:長辺17.3㎝×短辺10.2㎝  右:表面 原寸:長辺14.1㎝×短辺9.1㎝
 山田郵便局発行の記念絵葉書です。表面画像左下に絵画研究会のマークが入っています。

左:お白石曳・局本館全面図  右:御木曳の模様・電話分室全面図
 五十鈴川郵便局の特印(特殊通信日付印)が捺されています。左画像お白石曳の奉献団は不明です。右画像御木曳の奉曳団は岡本町です。上で紹介しました絵画研究会発行のものと同じ写真です。


神宮式年遷宮記念絵葉書(三重県)

左:たとう(広げた状態) 原寸:長辺19.2㎝×短辺17.6㎝  右:表面 原寸:長辺14.1㎝×短辺8.9㎝

 表面切手貼付欄には「NAKAMURA PHOTO STUDIO」とあります。

左:外宮・宇治橋・内宮  中:二見浦・倭姫宮  右:御用材奉曳
 左画像内宮の写真はは明治22(1889)年以前のものです。右画像の御木曳川曳でしょうか。
 五十鈴川郵便局の特印が捺されています。山田郵便局発行のものと三重県発行のものは、同時に入手しました。同じ日付の特印なので、元の持ち主は同じだったと考えられます。

〔参考文献〕
神宮司庁『伊勢神宮』 平成30年5月 小学館 p.78~79・128

造神宮使庁『昭和四年度神宮式年御造営要覧』 奥付なし


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