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宇治山田駅・古市・倉田山界隈 博覧会

御遷宮記念 お伊勢大博覧会

 昭和29(1954)年3月31日から5月31日までの2ヶ月の会期で、『お伊勢さん大博覧会』が倉田山公園一帯及び宇治山田駅前で開催されました。主催は宇治山田市と宇治山田商工会議所、協賛は三重県と中部日本新聞社(現中日新聞)です。入場料は当日券150円、前売り券は130円で抽選券付きでした。主要施設は次の通りです。
○倉田山会場
農業日本・神宮御神宝館・美術館・御遷宮記念館・迎賓館・観光日本・女性ホール・映画文化・運輸交通・子供の国・陸橋・三重の産業・三重県総合開発・近代繊維・百万弗真珠の光・電気科学・工業日本・工業と文化・事務局・軽車両時代・天理館・新聞文化館・新しき農機具
○宇治山田駅前会場
縁結び館(この博覧会の目玉として、商工会議所と中日本新聞社が中心となった協賛会が運営をした。内容:昭和8年に皇太子殿下のご誕生を祝して当時の画壇の巨匠に日本の歴史の名場面を描かせた絵画〔現徴古館所蔵「国史絵画」〕の展示・大パチンコホール・ニュース映画館・アトラクション・ヌードスタジオ)・協賛会施設・食糧の世界・水産日本・海女の実演・演芸館・和洋銘酒

お伊勢大博覧会 入場券
原寸 長辺16.7㎝×短辺7.1㎝
右:表面  左:裏面

 前売券の販売価格は130円です。表面左端には抽選券がついています。抽選は宇治山田と名古屋で行われました。



お伊勢大博覧会 パンフレット1
原寸:長辺27.4㎝×短辺18.8㎝
左:表面  右:裏面


 宇仁館の広告が入っています。伊勢尾上町の郷土研究家のM様より、「倉田山会場は徴古館と皇學館大學の敷地にまたがっており、御幸道路には歩道橋が架けられていた。」との話を伺いました。これは、裏面の絵地図にも描かれています。
 会場案内図左側にある施設一覧の内容を列挙します。
神宮御神宝館・美術館・迎賓館・御選宮記念館・観光日本・農業日本・女性ホール・新聞館・映画文化館・科学の驚異・運輸と交通・電報電話・府縣特設館・伊勢茶憩家・天理館・軽車両時代・ロマンステント・電気科学・近代繊維・百万弗眞珠の光・工業日本・工業と文化・産業日本・新しき農機具・子供の国・縁結び館・協賛会施設・食糧の輝界・水産日本・演藝館・和洋銘酒・海女の実演館


お伊勢大博覧会 パンフレット2
原寸:長辺52.7㎝×短辺18.8㎝
左:表面 近鉄の広告があります  右:裏面


 裏面左端には主要施設のあらまし・その他の諸施設が記載されています。
○主要施設のあらまし
1.神宮御神宝館
 門外不出の伊勢神宮御神宝の数々を公開する、本博独特のよびものである。
2.御遷宮記愈館
 伊勢神宮式年御遷宮の祭典を記念した各橿の御神宝資料等を展示公開する。
3.観光日本
 我国著名観光地風景を宣伝紹介するとともに、観光事業の重要性を強調する。
4.女性ホール
 流行のせんたんを行く近代女性の衣服・化粧品その他アクセサリ一切を展示する、現在女性すいぜんのホール。
5.映画文化館
 無声映画の時代から今や天然色・立体映画へと飛躍的進歩をとげた映画歴史を興昧深く且つ魅力的に紹介するものででり、ハリウウッドスクリーンから邦画のダークサイドをフアンの期待に応えて数々の資料を展示するシネマホールである。
6.科学の驚異
 科学文化の発達は遂に恐るぺき「原子力」を生んだ!進み行く科学の驚異を実物・模型・資科等をもって解説・科学に対する認識を更に喚起せんとするものである。
7.運輸と交通
 運輸・交通の進歩をパノラマ・ジオラマ・各種模型によって紹介。その進歩の偉大さと文化・産業に及ぼす重要性を強調するものである。
8.伊勢茶憩の家
 香り豊かな伊勢路の銘茶で御来場のみなさまのつれづれをお慰めする伊勢茶サービスハウスである。
9.近代織維
 驚異的進歩を遂げた日本繊維界の現況を各種精巧美麗な製品と照明装置により展示するけんらん豪華な一大織物絵巻の殿堂である。
10.百万弗真珠の光
 日本が誇る輸出ホープ真珠の製品に至る工程をパノラマ、ジオラマ等により表現し、百万弗花型真珠でミスパールが実演する夢の大ホール0
11.工業日本
 近代工業の全貌を全国一流メーカの出品により陳列各種最新式機傭を実演し、日本ヱ菜の復興の力強さを紹介するものである。
12.縁結び館
 世の森羅万象す全てが陰陽の合成によりなることを奇想な企画により展示紹介するものであり、国政・経済・文化或は世界の動き等すぺてが(陰陽)の神秘百般に亘ることの示唆を与んるものであり現代人の見逃すことの出来ないホールである。
13.水産日本
 我国水産の伸展等多くの風係資料を展示紹介するもので、水産日本の縮図である。
14.新しき農機具
 全国一流メーカーから出陳された各種の改良考案された農機具を陳列・実演を行い、農業機械化による生座向上の指針たらしめる。
15.宮川綜合開発館
 本県産業の根幹をなす宮川綜合開発事粟による宮川ダムの大模型を主として設賃し、その大事業の偉容を広く江湖に紹介するものである。

○その他の諸施設
電報電話・食糧の世界・農業日本・新聞文化館・演芸館・三厘県館・和洋銘酒・子供の国・ロマンステント・電気科学・美術館・軽車両時代・エ業と文化・府県特設館・迎寅館・産業日本・天理ホール・海女の実演館

 また、裏面右端の「ミスお伊勢さん」は異世代博覧会を宣伝するためのキャラバン隊です。


お伊勢大博覧会 パンフレット3

原寸:長辺36.5㎝×短辺25.8㎝
左:表面  裏面は白紙です

 この図で細かい会場配置が分かります。


お伊勢大博覧会 パンフレット4
原寸:長辺37.6㎝×短辺26㎝
左:表面  右:裏面


 このパンフレットには「倉田山公園会場」と「宇治山田駅前会場」だけでなく、「五十鈴公園会場」も記載されています。よって、このパンフレットは博覧会開催計画中に作成されたものと考えられ、当初の計画では3会場での実施が検討されていましたが、2会場での開催に変更されたと思われます。
○中央会場(近鉄宇治山田駅前)
①神宮御御宝館 ②美術館 ③産業日本 ④観光日本 ⑤縁結び館 ⑥女性ホール ⑦テーマ塔 ⑨事務局 ⑨伊勢の今昔 ⑪近代農業 ⑪売店 ⑫伊勢茶憇の家 ⑭迎賓館
○東会場(五十鈴公園)
①三重の物流 ②科学の脅威 ③工業日本 ④近代繊維 ⑥新しき農機具 ⑦野外劇場 ⑧子供の国 イ、動物園 ロ、飛行塔 ハ、キヤラメル園・オモチャの国・子供の夢 ⑨電気科学 ⑩軽車両時代
○西会場(近鉄宇治山田駅前)
①食糧の世界 ②百万弗真珠の夢 ③水産日本 ④全国名物巡り ⑤宮川綜合開発館 ⑥野外パノラマ ⑦演芸館 ⑧和洋銘酒 ⑨特設舘


〔参考文献〕
伊勢志摩編集室 『北岡善之助 伊勢の博覧会男』 
           平成6年7月 伊勢志摩編室 p.180~196・242
伊勢市 『伊勢市史 第5巻 現代編』 
           平成24年3月 伊勢市   p.246~247


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