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宇治山田駅・古市・倉田山界隈 博覧会

御遷宮記念神都博覧会

 昭和5(1930)年3月10日から5月10日まで、『御遷宮奉祝神都博覧会』が開催されました。これは、昭和4年10月に行われた、第58回式年遷宮を記念したもので、一般の参拝者の接遇を意図するものでした。国産館・歴史館・御物館(前年の昭和天皇即位大礼を受けての展示)をはじめ、台湾館・朝鮮館・北海道館・樺太館・満蒙参考館が開設されました。また、協賛施設として遷宮記念館・飛行塔・伊勢名勝館・名物館・宇治橋・演芸館がありました。不況下にもかかわらず、約55万人(『伊勢市史』[P.631]『写真集 三重百年』[P.55]による。なお、『検定お伊勢さん公式ガイドブック』[P.106]には72万人とあります。)が入場したそうです。
 以下、絵葉書を紹介します。たとう(袋)があるものがありますが、1セット何枚で構成されていたかは不明です。


御遷宮奉祝神都博覧会絵葉書1
原寸 たとう:長辺15㎝×短辺9.9㎝ 絵葉書:長辺14.1㎝×短辺9㎝ 
発行所:絵画研究会

 たとう(表)  右 たとう(裏) 

左:正門  中:噴水塔  右:遷宮記念館 


右:宇治橋  中:国産館  右:満蒙館 

左:樺太館  中:北海道館   右:朝鮮館

台湾館



御遷宮奉祝神都博覧会絵葉書2
原寸 たとう:長辺14.8㎝×横9㎝ 絵葉書:長辺14.2㎝×短辺9.1㎝ 
発行所:絵画研究会

たとう(表)  中:たとう(裏)  右:絵葉書表面

左:正門  中:噴水塔  右:遷宮記念館

左:演芸館  中:宇治橋  右:迎賓館

 建物の形状から神都図書館を演芸館として、神都公会堂を迎賓館として利用していたようです。

左:御物館・歴史館  中:国産館  右:満蒙館

 御物館・歴史館は神都博物館終了後、両者を併せて「神都記念館」と改称し、宇治山田市の観光施設として残されました。

左:樺太館  中:北海道館  右:台湾館



御遷宮奉祝神都博覧会絵葉書原色版

原寸 たとう:長辺14.7㎝×短辺10㎝ 絵葉書:長辺14㎝×短辺9.1㎝ 
発行所:絵画研究会

左:たとう表面  中:たとう裏面  左:絵葉書表面

左:噴水塔  中:遷宮記念館  右:演芸館    


左:宇治橋  中:国産館    右:満蒙館 


左:樺太館 右:北海道館


神都博覧会記念絵葉書
原寸 たとう:長辺15.1㎝×短辺9.9㎝ 絵葉書:長辺14.2㎝×短辺9.1㎝
発行所:溝口南洋堂

左:たとう表面  中:たとう裏面  右:絵葉書表面


左:山田駅前  右:北海道館 農林館



 神都博覧会の絵葉書は、絵画研究会以外の業者も発行したようです。宇治山田駅前には歓迎門として鳥居が設置されました。


御遷宮奉祝 最新式高級絵葉書 神都博覧会
原寸 たとう:長辺15㎝×短辺10.2㎝ 絵葉書:短辺長辺14.2㎝×9㎝
発行所:溝口南洋堂

左:たとう(表面)  中:たとう(裏面)会場案内図  右:絵葉書表面

左:正門  中:演芸館   右:演芸館内御代神楽

左:宇治橋  中:宇治橋網受  右:満蒙館及樺太館

左:北海道館 農林館  右:台湾館



神都博覧会協賛会が発行した絵葉書


御遷宮記念神都博覧会記念絵葉書
左:たとう   原寸縦18.1㎝×横11㎝
右:絵葉書表面 原寸長辺14.2㎝×横9㎝


左:国産館・正門  右:皇大神宮・豊受大神宮


神都博覧会開会式絵葉書
左:たとう表面(広げた状態)原寸縦17.6㎝×横21.8㎝
右:たとう裏面(広げた状態)   


左:国産館・入場門   絵葉書原寸長辺14.2㎝×短辺9.2㎝
中:演芸館・宇治橋模型
右:皇大神宮・豊受大神宮


 「国産館・入場門」と「皇大神宮・豊受大神宮」は上記の「御遷宮記念神都博覧会記念絵葉書」と全く同じ写真の絵葉書です。


御遷宮奉祝神都博覧会記念絵葉書 (御遷宮記念館)
左:たとう表面  右:たとう裏面   原寸長辺14.9㎝×短辺10.1㎝



右:絵葉書表面 原寸長辺13.8㎝×横8.6㎝
左:御白石奉献の状況・五十鈴川奉曳の状況


左:御遷宮渡御其一  中:同 其二  右:同 其三


 この絵葉書集は「御遷宮記念館」の内部の様子です。ここでは、式年遷宮に関する諸行事や神宮にまつわる歴史を模型で紹介していたようです。


御遷宮奉祝神都博覧会記念絵葉書 (名物館

左:たとう表面  中:たとう裏面   原寸:長辺14.9㎝×短辺10.1㎝
右:絵葉書表面 原寸:長辺13.8㎝×短辺8.7㎝


左:旧参宮道中間の山お杉お玉  中:旧参宮道中古市の夜景とその日茶屋  右:旧参宮道中古市大籬


左:旧どぶ六うどん  右:旧参宮道中酒茶屋


 この絵葉書集は「名物館」の内部の様子です。ここでは、伊勢の名物や土産類について模型を用いて展示をしていたようです。


左:ポスター絵葉書(裏面) 右:表面
原寸:縦14㎝×9㎝  発行所:東京印刷株式会社

 神都博覧会のポスターを絵葉書にしたものです。伊勢市内の商店が年賀郵便に使ったようです。また、博覧会の理事が年賀状として出したものも所蔵しています。ポスターの現物が伊勢市駅前の旅館である「山田館」さんに飾ってあった記憶があります。平成25年11月にアスト津で行われた、三重印刷工業組合主催の『リバプリ復刻企画展』では、見事に復元されたポスターが展示されていました。

左:絵葉書表面 中:ポスター・国産館  右:〔左から〕特設館の一部(朝鮮館) 本館 歴史館の一部
右:(表面)

原寸:縦14㎝×9㎝  印刷所:繪畫研究會印刷工藝社


 

次に、一枚ずつ別々に入手した絵葉書を紹介します
左:飛行塔 
右:駅前歓迎門 原寸:縦8.7㎝×横13.9㎝  発行所:不明



 昭和の初期に現在の遊園地にあるようなアトラクションがすでに存在していたことには驚きました。「歓迎門」は「神都博覧会記念絵葉書」で紹介したものでは人が多く、街並みがわかりにくいので再掲しました。鳥居の奥に神都線の電車も写っています。


『御遷宮奉祝神都博覧会 記念写真帳』
編集兼発行者:小林四五百
発行所:御遷宮奉祝神都博覧会協賛会
発行日:昭和5年5月10日
表紙原寸:長辺22㎝×短辺15.5㎝


こちらをクリックするとPDFファイルが開きます。



その他パンフレット等

吉田初三郎の鳥瞰図「御遷宮奉祝 神都博覧会」
昭和5(1930)年3月22日印刷・3月25日発行
発行:御遷宮奉祝神都博覧会協賛会
こちらをクリックしてください
 御遷宮記念館と演芸館のキャプションがずれています。


帝国生命(現:朝日生命)発行の神都博覧会パンフレット
左:表面  右:裏面  原寸:長辺26.4㎝×短辺19.2㎝


昭和5年発行『宇治山田近傍』


 神都博覧会の会場は、現宇治山田駅周辺でした。「御遷宮奉祝 最新式後宮絵葉書 神都博覧会」・吉田初三郎「御遷宮奉祝 神都博覧会」「帝国生命のパンフレット」の会場案内図と「宇治山田近傍」を比較して検討すると、正門は現在の「箕曲中松原神社」と「セブンイレブン伊勢市岩渕2丁目店」の間にあり、北門は現在の「かめのや商店」の辺りにあったと考えられます。会場の東側は宇治山田駅まで、西側は明倫商店街までであったと思われます


〔参考文献〕
小林四五百 『御遷宮奉祝神都博覧会 記念写真帳』 昭和5年5月
                      御遷宮奉祝神都博覧会協賛会
大日本帝国陸軍測量部 『宇治山田近傍』 昭和5年
 ※伊勢市教育委員会 『地図で見る伊勢のあゆみ』 昭和61年9月所収
伊勢市 『伊勢市史 第4巻 近代編』 平成24年6月 伊勢市


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