宇治山田駅・古市・倉田山界隈 旅館
油屋(本店)
油屋旅館は、もと伊勢古市にあった遊郭でした。1769年(寛永8年)5月4日夜に宇治山田の医師・孫福斎(まごふくいつき)が酒に酔って、仲居をはじめ数人を殺傷した事件がありました。これを油屋騒動といいます。この事件をモデルに、近松徳三が歌舞伎「伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)」を作りました。
古市三大遊郭の一軒として栄えましたが、明治21年に旅館に転業しました。本館・支店とも戦災で焼失しました。
油屋絵葉書1
左:表面 右:表面 原寸縦9.1㎝×横14.1㎝
明治40年4月8日のスタンプが捺されています。
油屋絵葉書2
左:たとう(広げた状態) 原寸:長辺24.2㎝×横23.6㎝
右:表面 原寸:長辺14.1㎝×短辺9.1㎝
歌舞伎『伊勢音頭恋寝刀』「油屋古市油屋店先の場」では、このたとうのイラストとよく似た模様の衝立があり、同じ模様の「のれん」が掛かっています。
左:本店 右:本店梅の間 左:本店内廊下
左:本店別館 右:支店
油屋絵葉書3
左:たとう(広げた状態)原寸縦25.1㎝×横22.5㎝
右:表面 原寸縦8.9㎝×横14㎝ 印刷:絵画研究会
左:本店・山田駅前油屋支店及び食堂 中:盃の間舞台
右:本店盃の間より庭園桃山を望む・盃の間に至る廊下
左:梅の間 中:別館玄関・別館応接間 右:別館梅の間・別館より庭園桃山を望む
左:別館夏の松の間・別館松の間より神路山を望む 右:冬の松の間
左:戦前切抜き写真 昭和4年 三重県
右:『昭和5年6月 伊勢及二見ケ浦遊覧 記念写真帳』関東共愛旅行会
左写真は、インターネットのオークションに「戦前切抜き写真 昭和4(1929)年 三重県」の名称で出されていたものです。左側一番手前の建物が油屋です。
右写真は昭和5(1930)年6月に関東共愛旅行会が参宮した際に作成された記念写真帳にある写真です。
伊勢参宮のしるべ1
原寸縦17.5㎝×横78.3㎝ 東京 明彩堂印刷所製
神都公会堂が描かれていますが、参宮急行線・伊勢電鉄線が描かれていません。よって昭和3(1928)年から昭和5(1930)年の間に作成されたものと考えられます。
伊勢参宮のしるべ2
原寸縦17.4㎝×横38.5㎝
参宮急行線・伊勢鉄道線が描かれていますが、現近鉄線宮町駅が外宮前駅と表記されていますので、昭和5(1930)年から昭和8(1933)年の間に作成されたものです。
昭和15(1940)年暑中見舞
左:暑中見舞状 原寸縦19.5㎝×横49㎝ 右:封筒裏面 原寸縦22.5㎝×横8.3㎝
油屋から滋賀県に出された、戦中色の見られる暑中見舞いです。
平成19年8月21日撮影
近鉄の跨線橋のフェンスの横に油屋の石碑が建っています。
令和3(2021)年1月2日撮影
〔参考文献〕
写真集伊勢編集委員会編 『写真集 明治 大正 昭和 伊勢 二見 小俣』
昭和61年8月 国書刊行会 p.79
©2020 sadanai