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松嶋館(松島館) 本店

 松嶋館(松島館)は本店が尾上町の寿巖院参道の南側五軒目にありました。

左:参宮ホテル松嶋館 原寸縦27.6㎝×横39.5㎝
右:会員参宿所    原寸縦20㎝×横27㎝

 明治に入ってからの参詣人増加・旅籠立地集約により、客引競争が起こりました。そこで各旅館は御師の生業としていた御神楽に注目し、○○教会と名付け御神楽祈祷会員を募集しました。松嶋館は「敬神御神楽教会」「神宮恭敬会」と称していました。右図の「会員」とは、いずれかの教会員を差していると考えられます。


左:神都教会 永代日参月産大々神楽会員名簿 原寸縦26.6㎝×横19㎝
右:会員参宿所    原寸縦19.5㎝×横26.9㎝

 左の冊子は神都教会の会員募集名簿です。「規定」によると、両宮へ日参・月参の代参・新暦正月1日・旧暦正月15日・新暦10月16日の年三回に内宮神楽殿で大々神楽を奉納し、会員及び陸海軍の軍人の安全、五穀豊穣、商工業・養蚕・漁業等の繁栄を願うことを目的として設立されました。右画像は前述の「会員参宿所」と余白部分大きさは多少異なりますが絵の部分は全く々大きさです。左上には神都教会の印が捺されています。よって松嶋館では前述の「敬神御神楽教会」「神宮恭敬会」の他、「神都教会」の指定宿泊所になっていたと考えられます。なお、『神都教会 永代日参月産大々神楽会員名簿』はこちらをクリックするとPDFファイルが開きます。なお、冊子最後の名簿は全部で10ページのうち、2ページのみスキャンしました。また、裏表紙裏は白紙でしたのでスキャンしていません。


左:博文館特派員の宿泊せし松島館 写真原寸縦5.2㎝×横10.7㎝
中:伊勢山田松嶋館        原寸縦14.1㎝×横9㎝
右:松嶋館年賀状         原寸縦14.2㎝×横9㎝ (実逓便)


 左画像は明治38年に明治天皇が伊勢に行幸した際、取材の博文館社員が宿泊した松嶋館の写真です。松嶋館のなお、大屋根左上の丘上に見える建物が五二会ホテルです。

平成27年8月14日撮影


〔参考文献〕
『写真畫報増刊 伊勢行幸寫真帖 第三十八巻』
         明治38年11月 博文館 p.55

野村可通 『伊勢の古市あれこれ 道歌の巻』 
         昭和51年3月 三重県郷土資料刊行会  p.51
飯田良樹「伊勢の旅籠と講社・教会」『瑞垣 第238号』
         平成29年9月 神宮司庁
 p.80


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