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厚生尋常高等小学校


 明治14(1881)年の教育令改正によって、伊勢市内では学区改正を行いました。明治17(1884)年に栄甽小学校と中正小学校が合併し、「厚生小学校」に改称しました。「厚生」とは『書経』の「正徳利用厚生惟和(徳を正しうして用を利し、生を厚うして、惟〔これ〕を和し)」から命名されました。そして、明治28年10月に現在の一志町に移転しました。明治44(1911)年3月に「第七尋常小学校」へ、さらに昭和3(1928)年6月に「厚生尋常高等小学校」へ改称されました。ここでは昭和6(1931)年4月に落成した鉄筋校舎の絵葉書を紹介します。


新築記念

左:たとう表面 広げた状態 原寸:長辺23.6㎝×短辺18.4㎝
中:たとう裏面 印刷:絵画研究会印刷工藝社
右:絵葉書表面       原寸:長辺13.8㎝×短辺8.9㎝


 「校舎全図」から考えると、現校舎が建っているところに「鉄筋新校舎」が、学校敷地の西側と南側に「木造校舎」が建っていたと考えられます。
 昭和6(1931)年7月1日現在の概要
  児童数   2062      学級数 33  職員数 39
  経常費   3082円89銭  
  校地面積  2123坪     
  建築面積  鉄筋 地坪 221坪  延坪 684坪
        木造 地坪 430坪  延坪 690坪
  鉄筋校舎建築費予算 84676円
  運動場面積 屋上 200坪  屋外1170坪

 児童数が2062人で学級数が33人を単純に計算すると1クラス62.5人となります。戦前の教職員の皆様方のご苦労がしのばれます。
  
左:新築校舎  中:奉安殿  右:職員室


 「新築校舎」前には、厚生小学校を象徴する「欅」が写っています。「奉安殿」とは、太平洋戦争終結以前に学校で、御真影や教育勅語などを保管するために設けた特別の建物です。「校舎全図」によると西側にあありましたので、中写真は厚生小学校屋上から宮川方面を写したものです。校舎右側の木は須原神社の社叢でしょうか。

左:理科室  右:児童図書室


平成28年8月28日撮影

 現在の校舎は平成7年8月に竣工しました。写真画面奥が北です。戦前は、画面左端の南北方向および、画面中央雲梯と平行して木造校舎が建っていたと考えられます。校舎前の欅の木も健在です。


〔参考文献〕
伊勢市 『伊勢市史』 昭和43年3月 伊勢市 p.246


〔参考HP〕
HP『伊勢市立厚生小学校』「学校の沿革」
                  令和3年7月4日最終閲覧


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