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大鳥居

 「大鳥居」といっても、現存する徴古館前のものでもなく、伊勢市駅前にあったジャスコ西側のものでもありません。JR宮町踏切(近鉄宮町駅近く)の前に、伊勢湾台風まで立っていたものです。

絵葉書集『伊勢百八景』より
左:全体 原寸縦9㎝×横14㎝  
右:「山田宮町通り」拡

 奧に見える大鳥居は、地元の方によると、宮町踏切のすぐ南側に建っていたそうです。
 昭和5(1930)年、参宮急行(現近鉄)が山田駅まで開通し、外宮前(現宮町)駅が設置されたことよって、宮町を南北に貫く新道が作られました。そして、参宮客誘致のため国鉄(現JR)踏切そばに大鳥居がたてられました。しかし、昭和20(1945)年の空襲で損傷し、戦後直ちに取り壊されました。すぐに新しい鳥居が作られましたが、昭和34(1959)年の伊勢湾台風で倒壊しました。
 なお、鳥居左後方の一升瓶型の広告塔は高向に建っていましたが、昭和10(1935)年代半ばに取り壊されたようです。
 なお、『伊勢百八景』には、昭和6(1931)年に開業した宇治山田駅の写真もあるため、この写真は昭和6年前後のものだと考えられます。

現在の様子 踏切南側から北方向を望む 平成19年8月10日撮影

当時の面影は全くありません。

 次に、現「伊勢外宮参道 伊勢神泉」さん西側にありました大鳥居です。

左:絵葉書(カラー)
右:昭和34(1959)年頃の大鳥居

 右側の写真は、オークションで購入したものです。所有者のご家族の方が、伊勢にいらっしゃった際にお撮りになったものです。所有者の方の許可を得て、掲載しています。転載をご遠慮下さいますよう、お願い申し上げます。
 左側の写真は絵葉書ですが、灯籠の数が右写真より少ないように見受けられます。よって昭和30(1955)年から昭和34年までのものと考えられます。
 この大鳥居は、昭和31(1956)年に松下幸之助氏が寄贈してたものです。その後、県道の拡幅工事のため、昭和63年(1988)に撤去されました。私は、その頃の大鳥居の記憶が残っています。


平成19(2007)年11月11日の大鳥居跡地

〔参考文献〕
写真集伊勢編集委員会 
『写真集 明治大正昭和 伊勢 二見 小俣』 p.10
          昭和61年  国書刊行会

間宮忠夫監修
『保存版 伊勢志摩の今昔』 p.14         
          平成14年  郷土出版社


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